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室に響くひそひそ声
ペンネーム:ダイゴロウさん
引越しをした時の話。そのマンションは近日中には取り壊されるというマンションで、家賃の手軽さからしばらく住んでいました。見た目はボロボロで随分古い建物でした。住人もすでにほとんど引越してしまい、普段から人の動く気配すらありません。
私は二部屋借りていて、ひとつの部屋を生活空間として使い、もうひとつの部屋は衣裳部屋として使っていました。衣裳部屋は住んでいる空間ではないので、掃除もしていないですし、電気も通っていません。ですから、薄暗く、ほこりっぽく少し不気味でした。
ある日、衣裳部屋へ服を取りに行ったときです。夜中のことでしたので、窓から入りこむ電灯の明かりでうっすらと部屋が見える程度で、ほとんど真っ暗でした。ダンボール箱をひっくり返していると、どこからともなく人の話し声が聞こえてきました。それは、まるでひそひそ話をしているようにぶつぶつと呟いています。私は外に誰か人がいて話でもしているのかと思い、窓辺に寄って道路を見てみるのですが誰もいません。じゃあ、やはりこの部屋から話し声がするのかと思い、辺りを見渡しました。しかし、暗い室の中で何か動く気配は全くありません。ですが、その話し声はずっと響いてきます。その日は、気のせいだと思い引き上げました。
また、別の日の夜。やはり、ダンボールをひっくり返していると、またもや話し声が。窓辺に寄って、外を眺めますが誰もいません。その日は、以前よりも鮮明に話し声が聞こえ、ここで初めて戦慄しました。私はさっさと服を持って、部屋をあとにし、しばらくは夜、この部屋には近づかないように気をつけました。それから、しばらくは何事もなく過ぎていったのですが、ついに私はそれを見てしまいました。
その日は、夜中でしたがどうしても必要なものがあったので仕方なく、例の部屋に向いました。私は早く、部屋から出ようと大慌てで目当てのものを探します。すると、やはり、ぶつぶつと呪文を唱えるような気味の悪い声がします。私は焦って、ダンボールを漁り、目当てのものを見つけたので一目散に部屋をあとにします。そして、玄関の扉を閉めようと振り返ると、窓辺に背の高い痩身の男が立っていて、こちらをジーッと睨みつけているのでした。
私はこれをきっかけに引っ越しました。そのマンションはいまでは取り壊され、全く新しいマンションになっているのですが、やはり例の男性が現れているのかは、わかりません。
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