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影法師

ペンネーム:雪だるまさん


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学校が夏休みに入ってちょっと経ったころに、私たち家族は引越しをしました。荷を解き、部屋の片付けも済み、しばらく経ったころのことです。

私は自室で寝転がりながら、雑誌を読んでいました。その日は大変暑かったので、対面にあるドアを開けておき、風が入るようにしていました。

その内、うとうとしてしまい、頬杖をしながらうたた寝を始めてしまいました。――と、ふいに視線を感じました。何だろう。一階で働いている両親が様子を見に来たのかと思い、開け放してあったドアの向こうを見ると、驚きました。全身真っ黒な影のような人物がこっちをジーっと覗き見ているのです。まるで影法師がそのまま浮き上がってきたような人物でした。背は高く、恰幅の良い人物(影?)でしたので、直感的に男だと思いました。

そして、影法師の男は私と眼が合うと、軽い身のこなしで、スッと廊下の端へ駆けて行ってしまいました。

その光景をただただ、茫然と見ていた私は我に帰り、きっと今のは夢か両親が二階に上がってきただけだろうと思い直しました。きっとそうだ。私は台所に向うため廊下に出て、影が向った方向を見て、両親ではなかったのだと確信しました。

私の部屋は二階の廊下の一番奥で、影が向った方向には、階段も部屋もないのです。じゃあ、夢だったのだろうと思ったのですが、あの影を見て以来、夜中に人が廊下をヒタヒタと歩く音が聞こえてくるのです。

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