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温泉
ペンネーム:ミカミさん
これは私が22歳の、確か秋頃に体験した話です。
思い出しながら書いているので分かり辛かったらすみません。
私はよく父親とF県某所の硫黄温泉に行って居ました。
入る旅館はいつも決まっていました。
とても綺麗で入っている人もそんなに居らずお気に入りの旅館です。
しかしその日はその旅館が清掃中で入る事が出来ませんでした。
仕方なしに付近の旅館へ。
しかしどこも貸し切りや清掃で入る事が出来ません。
すると父親が前から気になっていた旅館がある、そこへ行こうと言い出しました。
そこはいつも行っている旅館の斜め向かいにある場所なのですが。
外見は相当古びていて、私は正直あまり気ノリしませんでした。
旅館に入ると室内は薄暗く、あまり良い感じはしません。
誰も居なかったので、ごめん下さいと父親が声をあげました。
すると奥から若い男性が来て、受付をしてくれました。
いつも行っている温泉よりも金額が高めで、良い泉質なのかなと少し期待しました。
昼間にも関わらず、風呂場まで向かう廊下もやはり何だか薄暗く不気味でした。
何個目かの曲がり角を曲がって廊下を歩いていると、2つの分かれ道がありました。
左は通常の温泉、右が大浴場。
大浴場は日替わりで男湯・女湯として開放されていたみたいです。
その日は女湯だったみたいで看板には女湯と書かれていました。
折角なので大浴場に行くと言って父親は左へ、私は右へとわかれました。
右へ進み、曲がり角を曲がると直ぐに扉がありました。
開くと広めの脱衣所が。
誰も入っていない様で貸し切り状態でした。
広いなあと思いつつ、やはり気になるのは薄暗さ。
窓が多く日の光は入っているものの電気はついておらず、
勝手つけてに良いものなのかなと思いながらもそのままに服を脱ぎ温泉へ。
室内風呂だったのですが岩風呂仕様になっていてかなり広い温泉でした。
身体を洗って早速湯船に浸かりました。
白濁したお湯は硫黄の香りが強く、
これは中々体に染みついて落ちないかもとぼんやり思いました。
息を吐きながら、改めて室内を見渡します。
大きなスリ硝子の窓が壁に連なっています。
一部少しだけ開いてる所もあり、覗かれそうだなとも思っていました。
覗かれても居ないのに見られている感じがして、
私は少ししてから湯船から出て脱衣所へ行きました。
いつも行っている温泉も誰も居ないのに、
こうも違うものなのかと思いながら髪を乾かそうと備え付けの洗面台に行きました。
髪を乾かしていると不意に視界の端に何かが映りました。
何だと思って顔を向けると誰かが置きっぱなしにしたのかクシ(ブラシ?)がひとつ、
洗面台の横にある棚に置かれていました。
そのクシが何故だかクルクルと回っていたんです。
なんでだろうと思ってその時は特に気にせず回転を止めて、
髪を乾かす作業に戻りました。
するとまた視界の端で何かが映ります。
見てみるとクシがまた回っているんです。
その時もドライヤーの風当たっちゃってるのかな? とおもいました。
でもどう乾かしてもクシに風が行くはずは無い筈なんです。
少し怖くなって気のせいだと言い聞かせました。
もしかしたらどうにかしてドライヤーの風が当たっちゃったのかなと。
なんだか視界の端で動かれるのも気が散るので、
風の当たらない少し遠めの所に置きなおしました。
少し髪を乾かしていましたが、
何だかクシの事が気になって視線をクシに向けました。
目を疑いました。
遠くに置いていた筈のクシが元の場所に戻ってきていたんです。
その時は回ってはいませんでしたが、流石に怖くなって、
生乾きの髪もそのままに脱衣所からでました。
分かれ道で父親を待っていると。
暫くして父親が来ました。
直ぐにでも起こったことを話したかったのですが、
流石に旅館内で話しては不味いと思い話しませんでしたが、
帰ろうと促す私に、父親はこっちの女湯見てみなと言いました。
なんだろうと思いながら女湯を見ると、
大浴場とは違い、小さめの湯船に明るい雰囲気。
嗚呼、こっちにすれば良かったと思っていると父親が、
誰か居た? と聞いてくるんです。
居なかったよと答えるとそっかと返されたのですが、
その理由は帰りの車で分かりました。
車に乗り込み、私は体験を話しました。
父親は最後まで聞き終わると、不意にさっき、女湯みてもらったよな?と言いました。
それに対して私は頷くと父親は、
実は風呂に入ってる時、やけに女湯側が騒がしかったんだ。
男湯と女湯は壁一枚隔ててすぐ隣だったんだけど、そんなに大きくない風呂場に、
複数人の声がガヤガヤと聞こえていたらしいんです。
確かに私が促されて見た風呂は、精々2、3人がやっとでした。
ですが父親が言うには大勢の声がしたらしいです。
話し声は確かに聞こえるけど、何を言ってるか分からないくらい。
父親よりも早く出て分かれ道で待っていた私は、
出てくるお客さんなんて1人も見ていません。
その瞬間ぞっとして言葉を失いました。
何が怖いってそんな場所を娘に覗かせた父親が怖かったです。
そして1つだけその現象に心当たりがあって、
温泉に行く前に、G峠にいっていたんです。
もしかしたらそこで拾った幽霊をその温泉に置いてきてしまったのかな、なんて。
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