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騒音

ペンネーム:くろさん


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だいぶ前の話になりますが、私が友人の家に遊びに行った時の事です。

友人は高校を卒業してすぐに一人暮らしを始め、私はそんな友人がうらやましくてなりませんでした。

ある時、いいな一人暮らし羨ましいな、と友人に言うと、別にそんないいものでもないと言う友人。
少し気になったものの、遊びに行っても良いか? の問いに、いいよと言ってくれたので私は初めて友人の住むアパートに行ったのです。

アパートは木造の割と古い建物でした。それでも中はリフォームされていてすごく古いといった感じはしませんでしたけど……。

久しぶりに会った事もあって私たちは時間を忘れて話こんでいました。
テレビをつけながら、友人の仕事の事、私のバイトの事、恋人との事。

そうして笑いながらしばらく経った頃、ドンドン! と鈍い音がどこからか聞こえてきたのです。

私が首をかしげると、友人はまたかとうなだれます。
聞けば隣の住人が毎日壁を叩いてきて嫌がらせをしてくると言うのです。
電話口で
『一人暮らしも良いものじゃない』
と言った友人の言葉の意味が分かり、速攻でテレビの音を小さくしたり声を潜めたりしたのですが、壁を叩く音は一向になくなりません。むしろ叩く音がだんだん大きくなっています。

友人は
「気にしないで。私なんてもう慣れたし」
と強がった態度ですが、やっぱり落ち着かないのか、シャワー浴びてくるとお風呂に行ってしまいました。

一人リビングに残された私。

テレビを見ていても、ドン!ドン! と音が気になって仕方がありません。

そろりそろりと席を立って音がする寝室の方へ行ってみました。

寝室へ行くとますます大きな音が響いていました。本当に力一杯壁を殴っているような大きな音です。黒いクローゼットが置かれた後ろから音が聞こえているようでした。

ですが、私は気付いてしまったのです。叩いている音は隣からじゃない、クローゼットの中からだと。
クローゼットの中からドン!ドン! と大きな音がするのです。

私は恐怖に駆られましたが、何故だかクローゼットから目が離せなくなり、これも何故だか分かりませんがクローゼットを確かめなければならない。そんな気持ちになっていました。

おそるおそる音が鳴るクローゼットに近付く私……

胃のあたりが痛い感じと苦しい呼吸を我慢しながらゆっくり扉に手をかけて、

ガッ! と一気に扉を開けました。

ところがクローゼットの中は特に何もありませんでした。普通に友人の服が吊り下がっているだけ。

安心したような、急に力が抜けたような気がして私は扉を閉めました。その直後です。

私は悲鳴をあげました。

何故なら、クローゼットの後ろから女がこちらを見ていたのです。

クローゼットと壁の隙間から上半身だけをダラリと出して、髪の長い血まみれの女が見上げるように私の方を見ていたのです。

私は逃げるようにアパートを出ました。その後友人に電話しましたが、何故か友人は電話に出なく、そのまま音信不通になってしまいました。

あれから友人とは一度も会っていませんが、無事を祈るばかりです。

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