TOP > 実話恐怖体験談目次3 > 魂が離脱していた

魂が離脱していた

ペンネーム:たっきぃさん


  このエントリーをはてなブックマークに追加

多分信じてもらえないと思いますが、僕は高校生の時、自分の体と魂が分離してしまう事がありました。2年生の夏、昼寝をしていて気がつくと自分の体が真下にありました。その瞬間は驚きましたが、夢を見ているのだ思い、半開きのドアから外へ出て家の中を探検しました。

浮いている自分の姿はまったく見えませんが、母が食事を作っていたり、弟がガンダムのプラモデルを造っていたりと、後でさりげなく聞くと本当にそうしていたようでした。戻る、と思って体に力を入れると、若干の吐き気とともに目が覚めました。夜寝ている時はそのような自覚はありませんが、昼寝をした時に限って魂が離れることがしばしばあったのです。

3年生の秋、また魂が離れた時に蛍光灯の紐にハエが止まっていたので近くに行ってみると、ハエの中に入る事が出来ました。そういう感覚でした。急に体を持ったようですが視点は自分の目でみているそのままです。体が得体の知れぬ物になっている以外は裸で家にいる感触でした。

自分の意思で飛び回る事が可能なので楽しいと思い、まったく危機感がありませんでした。その後も離脱、機会があれば憑依を重ね、高校卒業後、自衛隊に入隊してからも、昼寝をする時間に恵まれるとそれを続けて、昭和61年、19歳の時にはかなり遠くにいけるようになりました。

その年の7月中ごろ休日だったので昼寝と離脱をして、かなり遠くの郊外に行ってみると、ミツバチ農家の巣箱が多くあって、カメラや機材をもった人たちが何人かいました。撮影かなと思い、木に幹にとまっていたスズメバチに憑依しました。

彼らは農家の家族らしい人と話をしていましたがやがて4人家族(父、母、娘、息子、娘と息子は中学生くらい)は網のついた帽子を被ると、白い虫網を持って散りました。何事かと思い、飛び回ってみましたが、飛んでいるスズメバチを捕まえようとしているらしく、慌てて逃げようとしたのですが桃色のパーカーをきた娘さんが横合いから僕に虫網をかぶせたのです。

まずいと思った時には遅く、たちまち白い生地に包まれてしまった僕は、何か固い物の上に置かれると真上から押される感触を感じた、と、ものすごい圧力とともに体が砕けるような痛みが襲ったのです。すぐに網から放り出され、そこはやはり木箱の上でしたがそのまま放置され体を動かせないまま暫く時間がたち、やがて他のスズメバチの死体? とともに草の上に集められると娘さんが近づいてきて僕を含むハチの死体を踏みにじったのでした。

もう何も見えず真っ暗で、ただ土の匂いは感じていましたが、早く戻ろうと必死でした。気がつくと居室のベットの上で全身の痛みと痺れとともにあおむけに転がっていました。

3ヶ月ほど痺れがとれず、その日以降なぜか離脱が出来なくなってしまい、諦めとともに痺れのひいた11月末頃、当直についていた夜遅くに○○テレビのドキュメントで北海道のある農家の家族の特集を暇だったので見ているとその一家は例のあの時の見覚えのある家族で、特に女の子のいじわるっぽい目つきには何かいやな記憶が甦るようでした。

番組後半なんと、ミツバチの巣にたかるスズメバチを日に1度退治するとの事で、その場面が写されていました。さいしょに父親がつかまえ、巣箱の上に片足をかけてふみつぶし、画面が変わって娘さんが、えいっと網をおろし、あ、いたいたと言いながら網の入り口をつかんで巣箱の方向に歩いていきました。

間違いなく捕まったのは僕だと確信した時、画面では巣箱の上に網に捕らえられたハチの上に片足を乗せ、ピンクの模様の入った彼女のスニーカーがアップになり、パチッという音とともに僕が踏み潰された場面が映し出されていました。

次の場面で木箱の上にハチの死体が3つあり、今日の成果は3匹というナレーターの声とともに取り囲んで見下ろしている一家と哀れな3匹の死体が映り、あのうちの一匹は僕なんだなと思うとゾッとしたものでした。幸い帰ってこれたから良かったものの、あのまま土になってしまう危険性も多分あったかも知れません。以来、離脱したいなどと思った事はありません。本当に危険です。

【実話恐怖体験談募集】あなたの実話恐怖体験談をお待ちしています。
実話恐怖体験談募集要項
実話恐怖体験談を投稿する

↑このページのトップへ