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歩道橋に佇む影
ペンネーム:むかし小学生さん
私が小学生のときの話です。送り火をして家に帰るときの話です。親戚の家から、自宅へ帰るときのことです。自宅へ帰る途中の道に歩道橋があります。その日も、父の運転する車でその道を通りました。後部座席から歩道橋が見えてくると、人影がありました。どうやら、男女のカップルのようです。オレンジ色の街灯が、歩道橋の側にあったのですが、逆光になってしまい、二人の顔はよく見えません。
二人は歩道橋を歩くでもなく、互いに向かい合い佇んでいます。一体、何をしているのだろうと眺めていると、徐々に二人の距離が縮まっていきます。影の色はいよいよ濃くなり、とても不気味に感じます。車は構わず、だんだんとその影に近づいていきます。なぜだか、よくわかりませんが、言い知れぬ恐怖が私の中で湧きあがりました。見てはいけない、目を逸らせ。警鐘が頭の中で鳴り響きますが、私はなぜか目を離すことができません。
そして、とうとう、二つの影がひとつになり、影が一番濃くなったその時、その影が歩道橋から車がビュービュー走る道路へ飛び降りたのです。
危ない!
影はまるでおもりでもつけていたかのように、ストンと釣瓶落としに落下していきます。その影の早さといったら、すさまじい勢いでした。
丁度、私たちの車の前を走っていた車に、その影はぶつかったのですが、前の車は止まらず通過していきます。父も平気な顔をして通過します。歩道橋をくぐり抜け、うしろを振り向きましたが、人はおろか石ころひとつ落ちていませんでした。いまでも、不思議な経験です。
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