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詮索はほどほどに
ペンネーム:かーねるさん
今年7月の体験だったものでかなり最近の話ですが……。7月12〜16日くらいの体験だったと思います。その体験をする前、母がとあるテレビ番組を観ていたのだそうです。それは、昔、昭和のころに私たち家族が住む同じ関西エリアのデパートで大きな火災があった話を再現したドラマでした。
その番組の放送翌日くらいに母が、
「あんた観てなかったけど、○○○○○○ー(番組名)で凄いのやってたんやでー。びっくりしたし悲惨すぎて涙がでたわ」
と言い、そのエピソードをあまりに熱心に話すので私はその火災について忘れられなくなりました。
そこで
(わあ、過去にそんな大きな悲惨な事故があったんや)
と微かな興味の様な物を抱き、大学で友人が来るのを待つ間、図書室のPCで調べてみることにしました。
大学に着き、図書室に向かいPCを開いて、「Sデパート火災」と入力し検索すると、100人以上の人が命を落とした中でも特に最上階のキャバクラに居た人々が多く犠牲になった事や、今でもその付近での怪談が絶えないことなど、実に沢山の情報がそこにはあります。母が熱弁していた通り、それらからは確かに状況の悲惨さが読み取れ、知らなかった事実を知り、私は次々とページをクリックしていきました。
しかし、そうし始めて数十分、なんだか背後の空気がどんよりとしてきたのです。図書室には私以外にも人がいて、中には他の人の迷惑を顧みず複数人で騒いでいる人たちも居、決して暗い雰囲気ではないはずなのに突然です。後ろを振り返っても誰もいません。
なのではじめは
(暑いしなあ、ちょっと疲れてるんやろうな)
と思い、PCの方に向き直ると再びサイトの閲覧を続けましたが、その空気はどんどん重くなるばかり。そしてついに、その「どんより」は私の体にも迫ってきました。
なんだか、背後から何人かが覆いかぶさってきている様に、体がずっしりと重くなり、PC前にうつ伏せになるしかないほどの重量感と疲労感が襲ってきたのです。まるで、火災について調べている私に「これ以上の事は知るな」とでも言うように。
本当に、大きな漬物石を乗せられているかのようななんともいえない重さと、眩暈が起きそうなほどの疲労感でした。大げさではなく、本当に、
(このまま気絶するんやろうか……)
という考えも過ぎった程に。
けれど、そうなる数分前には友人から、
「あと15分くらいで着くわー」
とのラインが来ていたため、このままでは友人が来たときにきっとびっくりさせてしまいます。
そう考えた私は、ずっしりとした体を引きずりながら咄嗟に、財布の中にいつも入れている「身代わり守」というお守り(私の周辺では割と強力と口コミのある神社のもの)を取り出しました。気休めでもよかったのです。金色のロケットの様なものを開き、中の神様の人型が見える状態にすると即、PC側に投げ置きました。
するとどうでしょう。気休めかも知れないけれど……とわかりつつ救いを求める気持ちでその身代わり守を置いた瞬間、さっきまでの激しい重量感・疲労感はウソの様にすぅーっと引き、うつ伏せでもがく事無く起き上がることができたのです。
こうして、友人が来るまでには何とか元に戻る事ができましたが、事の発端となったと思われる火災について調べ、色々と解ってきた矢先でこうなった事から、次のように思えました。私が興味本位で色々と調べまくった事から無意識に犠牲者の方々を呼び寄せ、怒らせたり、悲しませたりしてしまったのではないかと。
これを機に、私はこの火災だけでなく、特に死者が多く出ていたり、被害が絶大であった様な出来事について安易に調べすぎることは止めようと心に決めました。
いろいろ知るのは結構ですが、知りすぎるとかえって迷惑をかけてしまう事は、生きていたらよくあるけれど、そうでない存在の方々にとってもあるといえるのではないかということを身をもって考えさせられたかのような体験でした。
そして、「気休め」と考えていたお守りを信用し頼ってみる事も時には大切ですね(^^;;
とても有難みを感じました。
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